大工を始めた頃の家づくり
大工を始めた頃の家づくり
暑い日が続きます。事務所入口の温度計39.5度。まあ暑い!エアコンのありがたさ痛感します。
今回、私が大工を始めた頃の家づくりについてお話しようと思います。
当時はまだ荒壁(竹の小舞かき赤土で作った壁)が主流でした。木材は地元材ですが、少しずつ外材が入り始めた頃でした。
山を持った施主さんは「自分の山の木を使ってほしい」とのことで、少し前まで「先山師」が居ました。
「山師」とは木を伐採する人。それに「先」が付くので「どの木を何処に使うかを指示する人」です。木にもクセがあります。
山の地質、風の当たり方、尾根か谷か、水分量など。育ち方で色々とクセも違います。大工と木の両方の知識が必要です。
先山師が指定した木を晩秋に山師が切り、冬に雪が降ってから運び出す。もうひと昔前までは馬が居ました。私が大工を始めた頃にはもう重機は車でした。
大きい梁は皮を剥き自然乾燥、柱桁材は製材し、田植えが終わった頃から刻み始め、秋に上棟。
瓦を葺いて、素立ちのまま半年乾燥させます。荒壁付けて半年放置し、造作して壁の中塗りをして一応引渡します。
しかし、壁の上塗りは1年以上たった空気が良く乾燥し晴天が続いた頃を見計らってようやく上塗りで完成。
完成まで3年〜5年。今では考えられない工期です。
大工仕事としてはまずは刻みその前に木取り(どの木を何処に使うか)をする時点で、木には全てクセがあることを把握しなければいけません。
将来この木がどの様に曲がるかを見て何処に使うかどう組み合わせるのか、これが一番肝心な所です。
「木の目を見る」これは誰も教えてはくれません。中にはへそ曲がりな木もあります。
今みたいにプレカットは無いので刻みには時間がかかります。組み始めたら木が予想以上に曲がっている事もあります。
同年代の大工たちとあずりながら(あがきながら)やってきたものです。
目で見て覚え、自分なりに考えて施す。
時間をかけて作った家はプライド。世界に一つです。
重くて大きな参考書。これは今は本棚に眠っていますが、昔はけっこう読んだものです。(わかりやすいよう携帯を置いてみました)
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